E I コアの昭和史


戦後昭和22年頃のEI鉄心製作は、E型とI型の総抜き各1個取り加工でした。

電磁鋼板材料は日本の鉄鋼メーカーに製造技術がなく、GHQ管理下で米国材を調達使用。

 

鉄心製造工程は、通称サブロク板<3尺6尺材909x1818(mm)>からE型鉄心とI型鉄心各1個1個を

総抜金型で打抜く方法で非常に生産性が悪く、大量のスクラップが発生していました。(イメージ下図)

金型は、職人がヤスリ手作業でE形とI形に加工した簡易型です。

昭和24年当時、GHQが高価な電磁鋼板材から大量のスクラップ材発生を問題視。対応策を求められる。

旧通産省の指導で、日本で最初にノーロスコア(歩留り100%コア)の打抜き工程を構築した土屋栄一(土屋

製作所創立者)が松下、日立、東芝、三菱各電機メーカーの技術者にノーロス・コア製造技術を伝授。

日本全国に広まる。その後、コイル材製造が確立され、現在の順送り連続製造に至る。

 

当時はコイル材が入手できないため、ノーロス・コア製造工程は第一工程でサブロク材をEコア幅寸法に

切断加工。第二工程で等間隔にI型コア2個を打抜き加工。第三工程でEコア長さ寸法に1個毎に切断加工。

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サブロク板単発打抜工程.pdf
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EIコアの型式


海外標準型のSA型と日本独自のSB型がJIS規格になる歴史を記載。

日本工業規格 JIS C 6431【通信機器用変圧器鉄心積層板の寸法】

(昭和27年7月4日公示~昭和42年11月1日廃止至)

SA型は、材料幅を6等分した各寸法と3等分及び2等分寸法で構成した歩留100%鉄心である。

最初に外国からの情報で得た一般的な形状です。

 

SB型は、ノーロス(歩留100%)タイプとEE形ロス有りタイプの2種類を有します。

SB型はJIS規格が制定される数年前に変圧器メーカーの要望から、初期はノーロスタイプ歩留100%限定形状でした。その後再度、変圧器メーカーの要望からEE形ロス有りタイプのSB型が

考案された。EE形状SB型は他のロスタイプよ

り歩留りを向上させる目的で考案し特許申請受理

されています。

 

SB型(ノーロスタイプ)考案者がSB型のロス・

タイプ形として考案したが、JIS規格の制定後

のため型式分類はSB型に属していません。現在

では、EI-78とEI-85のロスタイプコア

がEI形状で使用していますが、EE形の需要は

ほぼ皆無です。トランス設計者の方々が一考する

価値があると考えます。

 

変圧器メーカーの要望内容は、外形寸法が同じ

SA型より巻線部<X>寸法大きい鉄心を要望。

最初にSB型が考案された。その後SB型でSA

型と同じ<V>と<U>寸法を同寸法に要望から

EE形状のSB型を考案。

 

SB型コアは外形寸法に対して巻き線部面積を

<大>にする目的で日本から誕生した形状であ

る。


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日本工業規格 JIS C 6431【通信機器用変圧器鉄心積層板の寸法】複製版.p
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